2013年3月11日月曜日

杉並区医師会学術講演会

 平成25年3月8日 杉並区医師会学術講演会に出席しました!

 ブログの更新がごぶさたとなってしまっていました。今年の冬は、インフルエンザとノロウイルス感染症の流行で、なかなかブログの更新の時間が作れませんでした。現在も花粉症が猛威をふるっていますので、みなさんご自愛下さい。

 今回は、東京医科大学循環器内科学教授の山科章先生のご講演が、杉並区医師会主催でありました。出席し勉強させていただきました。山科先生のご講演の様子は、立て板に水のごとき解説スピードでした。あふれんばかりの知識量とそれを裏付ける豊富な臨床経験からのご講演という印象で、圧倒されました。普段からお世話になっているのではありますが、今後もいろいろご指導いただきたいと、強く感じました。

 講演内容は「肺動脈塞栓症を見逃さないために」というものでした。昨今の日本列島をおそっている大地震後に車中泊を余儀なくさせられた際に発症する事が多いとわれております。車内のような狭い空間で仮眠をとる事により、ふくらはぎの極端な安静から、足の静脈に血栓(かさぶたのようなもの)ができてしまいます。次に動いたとき、すなわち翌朝に動き始めた後で、その血栓(かさぶた)が足から肺に流れ込んでしまい急激に呼吸が苦しくなってしまうような病態です。重症な場合には命に関わる事も少なくなく危険です。
 予防としては、圧迫ストッキングの着用、ふくらはぎの運動を数時間毎に行うこと、脱水にならないようにするということになるようです。

 医師としては、臨床所見と急性期の心電図変化に着目することが大切との事でした。具体的には、
1)右軸偏位    Ⅰ誘導でR/S=1.0〜0.8
2)右心負荷    肺性P波の出現
3)時計回り回転  V5 R/S=1.0
4)右側胸部誘導での陰性T波の出現
★SⅠQⅢTⅢの所見があれば典型例と考える必要がある。
胸部写真では左の第2弓の突出や右肺動脈の腫脹と肺野の透過性亢進。
D-dimerの上昇も有意な所見とのことでした。

 失神発作をともなう事もあるとのことでした。

 この疾患は、顕著な臨床データがでないことがあり、医師がこの疾患を念頭におきながら診療にあたることが重要であることも強調されておりました。