2012年9月14日金曜日

第7回社会保険中央総合病院連携講演会

平成24年9月13日 第7回社会保険中央総合病院連携講演会に出席しました!

今回のテーマは「すぐ役立つ!外傷に対する初期手当」でした。
外科、脳外科、整形外科、皮膚科の先生方による講演があり、たいへん興味深く拝聴させていただきました。参加者は170名を超えていたそうで、たいへん盛況でした。
以下、諸先生方の講演で印象深かった内容をご紹介します。

1)切り傷、擦り傷、けが総論        一般外科医員 伊地知正賢先生
 消毒薬は必ずしも必要でないということや、創傷被覆剤の使い方など、よい復習になりました。あまり遭遇することはないが、マムシやヤマカガシ、ムカデなどよる外傷の対応も勉強になりました。
 マムシの場合は前歯に毒があり、ヤマカガシは奥歯に毒があるそうです。咬まれて30分以内に腫れてくればマムシで間違いないそうです。マムシの場合は6時間以内に抗毒素ウマ血清を投与する必要があり、社会保険中央病院では通常準備ができるそうでした。
 ムカデに刺された場合はムカデ毒が熱に弱いタンパク質でできているので、43度〜45度程度の熱いシャワーで患部を温めつつ、普通のシャンプー等で洗い流すのが初期治療として効果的であるそうです。

2)頭部外傷〜特に小児と高齢者について〜  脳神経外科部長 武田泰明先生
 現場の最前線の脳外科の先生ですら、小児の頭部外傷の診断治療には苦慮されることもある様子がよくわかりました。やはり、強い頭痛、嘔吐、意識障害等が、精密検査や経過観察入院の目安になることがわかりました。

3)打撲、骨折の初期対応          整形外科医員 金子雅子先生
打撲の初期対応として、RICEについて説明がありました。R: Rest(安静)  I: Icing(冷却)  C: Compression(圧迫)  E: Elevation(挙上)の頭文字です。ぜひとも一般の方にも覚えておいていただきたい内容でした。また、 印象的であった内容に、「以前にはそれほどみられなかった小児の鎖骨骨折が増えてきている」とのお話がありました。私も同様の印象をもっております。

4)熱傷治療の基本             皮膚科部長 鳥居秀嗣先生
少なくない外傷でありながら、治療方法の発展があまりないというところが残念でした。私自身も約15年前に千葉県救急医療センターの熱傷治療チームに勤務させてもらっていましたがそのころから治療内容に大きな進化はないようです。組織が熱変成してしまっているのですから、新たな治療を開発するということは難しいことなのでしょうね。しかし、唯一でありながらも外用薬のフィブラストスプレーは画期的な治療薬としての位置づけでした。