杉並区医師会では定に各専門分野の第一人者の先生にお願いして定期的に講演会を行っております。この講演会は、医師会会員のみが対象のものです。講演開始時間も20時からとなっており、診療を終えた医師たちの集まりやすい時間から始まります。
今回の講師は東京女子医科大学病院神経精神科教授の坂元薫先生でした。内容は「うつ病の診断、治療」に関するものでした。講演中に引用されていたビデオでは、多くのテレビ番組に出演されて「うつ病」の啓蒙活動にご尽力されていらっしゃいる様子が手に取るようにわかりました。私はお恥ずかしながら坂元先生のことを存じ上げませんでした。女性の先生?かと思って参加させてもらいました。すると講演冒頭でそのような勘違いをする出席者が多いとのお話もあり、さすが精神科の先生、読心術もできるのか?と思ったくらいでした。話術もたいへん巧みでいらっしゃり、講演時間もあっという間と感じるくらい、お話に引き込まれていきました。
日本は、自殺者数が多い国です。「切腹」「刹那」「桜」ということを美徳としていた風土があるからでしょうか。しかし、残された家族の無念さを考えると、何がなんでも自殺を思いとどまらせることが大切なことであると思います。特に医療者としては、肝に銘じなければいけないと思います。自殺者の約3割がうつ病が原因とのことでした。その割合が多いか少ないかは、意見がわかれるところかと思います。医師としての私の感想は、もっと比率が高いかというところでした。昨今では「いじめ」が原因の自殺も多く報道されております。そんなことが理由での自殺は論外であり、社会の力、大人の力で「ゼロ」にしていかねばならないと思います。
私が思っている以上に一般の患者さんには「精神科」の敷居は高いというお話でした。しかし、時期と病状に応じては専門医を紹介すべき必要がある、ということも再認識しました。
坂元先生はうつ病予防のCDも作成されているそうです。私もまだ聞いていませんが、ぜひとも買ってみようと思っているところです。